SESとは?派遣や請負との違いやメリット・デメリットを解説

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SESとは?派遣や請負との違いやメリット・デメリットを解説

SES(システムエンジニアリングサービス)は、IT業界における業務委託契約の一種です。

また、SESと派遣の大きな違いは以下の通り指示系統にあります。

  • SES:常駐するITエンジニアに対する指揮命令権はSES企業
  • 派遣:派遣されたITエンジニアに対する指揮命令権は派遣先であるクライアント企業

さらにSESと請負の違いは以下の通り報酬の支払い基準にあります。

  • SES:作業時間や工数を基準として報酬が支払われる
  • 請負:契約に基づいた成果物を納品することで支払われる

この記事ではSESをわかりやすく解説し、IT派遣や請負との違いや、SESのメリット・デメリットを解説していきます。

SESとは?

SESとはソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における業務委託型のビジネスモデルの一種です。(参考:Wikipedia

「システム・エンジニアリング・サービス(System Engineerring Service)の略称をSES(エスイーエス)と呼びます。

SES企業に所属するITエンジニアが業務請負の形で労働力を提供し、作業時間に対してクライアントは賃金を支払う契約となります。

そのため、SESには納品義務がありません。納品義務があるSIerと比べると対照的な契約となります。

SESのビジネスモデル

SESのビジネスモデルは、SES企業がクライアント企業に対しITエンジニアを派遣し、提供した労働力の対価(人件費)をクライアントから受け取る内容となっています。

SESが利用されるケースとして、大規模開発を受注した大手SIerがSES企業に支援を求める事例などがあります。

SESは労働力の提供であるため納品義務はなく毎月クライアントに対し業務請負費用を請求でき、SESは資金繰りが安定するビジネスとなっています。

SESはクライアント企業に応じたITスキルが必要となり、大手SIerであればプロジェクトマネジメントや上流工程を任されることもありますが、零細企業のクライアントであれば雑務作業のケースもあります。

つまり同じSES企業であっても在籍するSES企業によって、求められるスキルが大きく違う点に注意しましょう。

SESエンジニアの仕事内容は、クライアント企業に常駐し、チームの一員としてその企業の社員や他の派遣されたスタッフと仕事をするのが一般的です。

職場環境や仕事内容は、クライアント企業によって大きく変わります。

また、月に一度の帰社日を設けているSES企業が多くあり、そこで担当プロジェクトの進捗や経費等の精算が行われています。

SESと請負契約の違いとは?

SESと請負契約の違いとは?

SESと請負の違いは、SESは契約した時間の労働力を提供する契約に対して、請負は定められた期間内に成果物を納品する契約となります。

種類 説明
SES クライアント企業にITエンジニアを派遣して、労働力の提供すること。指示系統は雇用者にある。
請負 クライアント企業から完成を目的とした依頼を受け、成果物を納品すること。

SESは毎月クライアント企業に請求でき、キャッシュフローが安定するビジネスモデルです。

また、SESでは納品義務がないため責任の範囲が狭く、心理的負担も請負と比べると軽い傾向にあります。

一方で、請負では納品まで期間が長いとその間の費用を負担する必要があるため資金が必要となります。

成果物の完成度によっては、賠償責任などが生じ、ストレスフルな環境と言えるでしょう。

SESと請負を比較したときのメリット・デメリット

SESと請負を比べた時のメリット・デメリットを以下の表にまとめました。

メリット ・労働力に対して報酬が支払われる
・成果物に対する責任がない
・受注側の企業に指揮系統がある(受注企業は手出しできない)
デメリット ・SESといえども、成果物は期待される
・責任範囲が狭いため利益が少ない

請負と比べた時のSESの持っているメリットは、成果物でなく労働時間に対して報酬が支払われるという点です。

SESは準委任契約のため、成果物に対する完成義務は持ちませんが、請負は完成義務があります。

そのため、SES契約では責任範囲が狭いため安定して収益が見込めるメリットがあります。

とはいえ、SES契約の下でも常駐して仕事を行う以上、相応の成果が求められます。

責任範囲が狭いとはいえ気を抜くことは許されません。

SESとIT派遣の違いとは?

SESとIT派遣の違いとは?

SESと派遣は、指示系統に大きな違いがあります。

SESでは常駐するITエンジニアに対する指揮命令権はSES企業にあります。

一方でIT派遣では、派遣されたITエンジニアに対する指揮命令権はクライアント企業にあります。

種類 説明
SES 雇用者をクライアント企業に派遣して、SEの技術を提供すること。指示系統は雇用者にある。
派遣 クライアント企業の指揮命令のもと作業する労働力を雇用者が提供すること。指示系統はクライアント企業にある。

指示命令権はSES企業にあるということは休日出勤・残業などの命令はクライアントにはできません。

SESとIT派遣を比較したときのSESのメリット・デメリット

SESと派遣を比べた時のメリット・デメリットを、以下の表にまとめました。

メリット ・案件により必要とするスキルを持つ人材を集められる
・指揮命令は受注側の企業となる
・成果物に対しての責任が一切発生しない
デメリット ・派遣とSESを区別できている人が少ない
・法律的にグレーゾーン(SESは派遣業の許可がなくても可能)

SESのメリットは、次の2つの点にあるといえます。

  • 指揮命令が派遣元の企業にあり、常駐先の企業の指示をすべて受ける必要はないという点
  • 成果物に対して責任が少なく、時間によって報酬を請求できる点

また、SES事業を行っている会社としては、時間給で安定した収益が期待できるという点でメリットがあります。

デメリットは派遣との違いが広く知られていないという点です。

厳密に言うと指揮命令が派遣元企業になり、SES契約の下では常駐先からの指揮を受けることはありません。

ただし、その点を理解している人が少なかったり実態が偽装派遣のケースもあり注意が必要です。

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SESのエンジニアとして働くメリット3つ

SESで働くエンジニアにとってのメリットとはなにかを3つ紹介していきます。

  • 納品義務がなくストレス・残業の融通がきく
  • 社外とのコネクションが多くなる
  • 様々な企業・プロジェクトにかかわれる

それぞれ見ていきましょう。

メリット1:納品義務がなくストレス・残業の融通がきく

SES最大のメリットは、納品義務がないことです。

納品物のために長時間の残業をしたり、ストレスを抱えながら作業をしたりすることが少ないです。

もちろん、適当に仕事をしていて良いという意味ではありません。

現場で任された仕事はしっかりこなす、これは社会人として当然のことでしょう。

しかし、納品物のために精神をすり減らす必要はありません。

スケジュールの遅れや仕様変更などSIerの場合はたくさんの重圧がかかります。

しかしSESでは納品義務がないため比較的、楽な気持ちで仕事ができます

メリット2:社外とのコネクションが多くなる

常に客先に常駐して作業するSESはさまざまな企業と一緒に仕事をする機会がとても多いです。

1つのプロジェクトが終われば次のプロジェクトへ移っていく働き方はまさに渡り鳥ですのようです。

そこで知り合った縁で新しい仕事をもらえたり、クライアント企業に誘われたりするケースも少なくありません

働き方次第ではまったく新しい可能性に出会えることもあるでしょう。

メリット3:様々な企業・プロジェクトにかかわれる

SESの仕事はシステム開発を次々とこなしていきます。

そのため、様々な企業やプロジェクトに関わる機会を持てるのが魅力でもあります。

自分のまったく知らない企業や業界の仕事を知れるのは刺激的です。

常に開発に関わっていたい人には嬉しいポイントになるでしょう。

SESのエンジニアとして働くデメリット3つ

SESで働く際のエンジニアにとってのデメリットは以下の3つです。

  • SESで二次受け・三次受けは多重派遣の温床
  • 案件ガチャで技術・役割などのキャリアコントロールができない
  • 開発力(技術)がないとIT土方作業に回される

それぞれ解説していきます。

デメリット1:SESで二次受け・三次受けは多重派遣の温床

SESは「派遣」と近いものがありますが派遣ではありません

そのためSESで来たITエンジニアをさらに別会社にSESとして客先常駐させても多重派遣にはあたりません。

つまり、合法的に多重派遣ができてしまい、多重下請構造の温床になっているのです。

つまり、元請けA社はリソース(人手)が欲しくてSESのB社と契約したとします。

ところが、B社だけでは求められているリソースを確保できません。

そこで、B社はパートナー関係であるSESのC社とさらに契約します。

システム開発の現場ではこうして人手を賄っているケースが非常に多いのです。

プロジェクト規模が大きくなるとは四次請け、五次請けになることもあります。

そして、下請けは下に行くほど担当できる業務が限定されていくという性質があります。

これはSEとしてのキャリアアップを阻害する要因になりかねません

デメリット2:案件ガチャで技術・役割などのキャリアコントロールができない

SESは契約しているクライアントに常駐して働きます。

つまり、どのような仕事になるのかはクライアント次第の案件ガチャになるのです。

運良く自分のやりたい業務や、働きやすい職場環境のクライアントならよいですが、非常にハードな案件になってしまうケースも少なくありません。

自分でやりたい技術や役割を磨いていけない、つまりキャリアコントロールができないのがSESの悩ましい点でしょう。

デメリット3:開発力(技術)がないとIT土方作業に回される

SESで開発力(技術)がない場合、担当できる作業は限られたものになります。

技術力がないと本当に誰でもできる作業依頼しかこないため、30代以降の市場価値が極端に低くなります

一年中のシステム監視役を担当したり、出力された帳票の仕分けなど「IT土方」以上の土方作業となります。

技術力が身につくかどうかは実際にやってみないと分かりませんが、30代で「あ、技術力ないかも」と思ったら早めにSESを辞めることをおすすめします。

また、SESとして実際に働いて感じた「闇」についての体験談が「SESの闇とは?やめとけと言われる理由と事例を紹介」にありますのでこちらの記事も合わせてご覧ください。

SESが向いている人の特徴

SESがおすすめな人は「キャリアアップしたい人」

SESが向いている人は、これからIT業界でスキルアップを目指していく人です。

SES契約で企業に常駐する場合、その多くが長期間に及ぶことが多くなります。

この点は派遣や請負とは違う点になります。

1つの案件ごとに現場が変わっていく派遣契約の場合、キャリアアップやスキルアップが難しくなります。

現在のスキルで成果物を出せる仕事を次々と受けることになるためです。

その点、SESで企業に常駐する場合は、その企業内の様々な案件に携わることが出来るようになります。

そうなると、新しいプログラミング言語や構築作業に携わることになるので、少しずつ成長することができます。

このようなSESの特徴を考えると、この雇用形態で働くのにピッタリな人は、

「長期的にスキルアップ・キャリアアップを考えている人」

であると言うことができます。

スキルが上がっていけば、将来的には派遣や請負など、状況によって雇用形態を選ぶことが可能になります。

第一段階として、SESとして企業に常駐し、開発の基礎や仕事の進め方を学んでいくことが有意義といえます。

SESの平均年収

SESとして働くエンジニアの年収は、おおよそ370万〜780万くらいです。

平均にすると月額給与は25万円〜60万円の範囲でしょう。

参考:システムエンジニアの年収を調べてみた|みんなどのくらい稼いでる?

このデータはSEの給料の統計になります。

SES契約の元でクライアント企業に常駐して働くとしても、基本的な給与体系は派遣元の企業に準じるからです。

混同しがちになりますが、あくまでもSESは雇用契約の種類であり、職種ではないことを覚えておいてください。

つまり、SESや請負、派遣であっても、基本的には企業に所属しているSEということになります。

常駐先でクライアント企業で仕事をし、所属している企業から給料をもらうという構造になります。

ですので、SES契約で働くとすると給料は人並みか、場合によっては世間的に低い方に分類される可能性があります。

SES契約で働くエンジニアの平均年収は、1年目で約300万円とされています。

そこから5年目には平均年収が約400万円となり、最終的には平均500万円ほどで落ち着きます。

超高待遇のSESもある!直請けSIerに参画するSESなら年収1,000万円も夢ではない

何かと悪い評判が多いSESですが、優良企業も存在します。

富士通や日立などの直請けSIerに参画するSESは超優良企業です。

スキルや経験にもよりますが単価も人月120万円を超えてくることもあります。

年収1,000万円を超える方も存在します。

こういったSESではキャリアも考慮されてアサインされるため離職率も低く、長く定着する社員も多くいます。

優良企業を探したいかたは大手SIerと直提携しているSESを狙いましょう

ちなみに高待遇なSESを探すなら優良企業を多く扱うIT専門のマイナビIT AGENTがおすすめです。

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SES企業でSEとして経験を積んだ後のキャリアパス

SESでSEとして働くことのキャリア

SES企業でSEとして働くことで得られることは多くあります。

しかし結論から言うと、低賃金であるSES契約のエンジニアとして働き続けることは難しいといえます。

その理由として、企業はお金を出さずにエンジニアを調達する方法としてSESを利用するため、グレーゾーンのような扱いの契約が多いからです。

企業側の「コスト削減」を実現するための契約として使われるSESは、賃金がなかなか上がらない社会的な構造があります。

ですがその反面、スキルという点では有益な契約とも言えます。

1つの企業にとどまり、長く案件や保守・運用に携わるので、エンジニアとしての経験を積むことができます

決まった企業である程度の期間を過ごすことは、日常的に案件に関わる機会を得られ、安定的な収益ももらえます。

ですので、SES契約をうまく利用するには、SES契約で働く期間を修行期間と考えて活用していくのが良いでしょう。

SESの経験を生かしてSIerに転職しキャリアアップをする、より高い賃金を求めてフリーランスエンジニアになるといったキャリアパスを選択肢として考えておきましょう。

フリーランスエンジニアもSES案件が多い

フリーランスエンジニアもSES案件が多い

最近になってよく聞くフリーランスですが、実はSES案件に携わることが多いです。

実際にフリーランスの案件として、請負よりもSES案件の方が多く流通しているほどです。

その理由は、各企業がITに対して投資が増え、求人状況が明るくなってきたことにあります。

かつてはリーマンショックの影響で、各企業が控えてきたITへの投資が、景気回復と共に戻ってきました。

同時に、インターネットの普及が進んだことにより、どの企業も何かしらのシステムを導入しています。

そうした企業には、保守・運用のエンジニアが必要なので、必然的に求人数が増えていきます。

そして今では、「エンジニア数 < 案件数」という状況になったのです。

そして今後も経済産業省の調査ではずっとエンジニア不足が続く予想となっています。

そうした需給バランスの中で重宝されているのが、フリーランスエンジニアの存在です。

これは、会社に所属しないため、流動的な人材の確保ができるからです。

  • IT投資の復活
  • インターネットの普及

といった社会の流れを受け、柔軟性の高いフリーランスをSES契約で常駐を希望している企業も多いのです。

ですので、フリーランスとしてキャリアアップを図る人は、社内常駐の案件を初めに選ぶのが良いです。

現在の雇用状況では、エンジニア側に案件を選べる優位性があるのでオススメです。

ホワイトなSES企業を選ぶには

SESになるには転職エージェントに相談がベスト

ホワイトなSES企業で働くためには、IT業界を専門的にサポートしている転職エージェントに相談するのが安心です。

SESでは客先での常駐が基本業務となるので、SES契約を手に入れるには情報が必須です。

例えば、様々な企業の情報、募集されている案件などを、チェックしておく必要があります。

しかしながら、個人でそうした求人情報を取得して、営業して採用されることは難しいのが現状です。

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転職専門のエージェントやコンサルタントをうまく活用することで、希望する企業へのSES案件が見つかることでしょう。

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まとめ

IT業界には欠かせない雇用形態である、SESについて、詳しく解説してきました。

少しでもSESという雇用形態について知ってもらい、あなたのエンジニアとしてのキャリアが、少しでも開けると嬉しいです。

エンジニアとして働くには、派遣や請負、SESといった雇用形態がありますが、その中で案件がもっとも多いのが客先常駐です。

エンジニアとして一歩踏み出したいあなたこそ、SES契約で経験を積んでいくのか良いでしょう。

案件ごとに働く派遣、成果物に対して報酬が発生する請負、エンジニアとしての労働力に対して報酬を得るSES。

まずはこの3つを押さえ、エンジニアとしての働き方を確立していきましょう。

また、そうした働きへのキッカケを掴めない人、SES契約の案件を探したい人は、転職エージェントをうまく活用して、最適な案件を探してみましょう。